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第20回文学講座(H24.9.8)

題目 「遠藤周作「日本の聖女」にみる切支丹の道」
講師 宮﨑尚子氏(尚絅大学)

 平成24年9月8日(土)、晴天に恵まれるなか、第20回文学講座を開催いたしました。

 今回は、熊本から宮﨑尚子氏をお迎えし、短編「日本の聖女」(「新潮」昭55年2月号)について解説して頂きました。

 講座は、作者が短編「日本の聖女」で描いた細川ガラシャについて、「従来のイメージとはやや違うかもしれない」と語った言葉を出発点として、短編に先行する多くのテクスト(歴史書・文学作品)との比較を通して、遠藤が描き出したガラシャ像の特徴を重層的に浮き上がらせました。そして、自らの意志をこえた運命を甘受せざるをえなかったガラシャが潔く自決するその心理は、キリスト教的な信仰によるものではなく、「あっぱれ」という言葉に象徴される日本的美意識によることを、日本的土壌との格闘を通して執筆し続けた作家の苦悩を示すことで、わかりやすく解説してくださいました。